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教会だより

「あなたの罪は赦された」 ルカによる福音書5章17-26節(8/17説教)

 20節に「イエスはその人たちの信仰を見て、『人よ、あなたの罪は赦された』と言われた」とあります。なぜ主イエスは「あなたの罪は赦された」と言われたのでしょうか。中風の者(と中風の者を運び入れた男たち)が期待したのは病の癒しでした。それにもかかわらず、主イエスは「あなたの罪は赦された」と言われたのです。

 病が癒されるためには、まず罪が赦されなければならないことを主イエスは教えようとしておられるのではないでしょうか。罪が赦されることを求めることなしに、病だけが癒されることを求めるのは「正しい信仰」の在り方ではない、それは自分の利益だけを求める「ご利益信仰」である、と主イエスは言わんとしておられるのではないでしょうか。

 23節に「『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか」とあります。主イエスはこう言わんとされたのではないでしょうか。確かに罪の赦しは律法学者たちやファリサイ派の人々が言うように(21節)神だけが語ることができることである、しかし、人は罪が赦される証拠を見ることができないために安易に罪の赦しを語りがちではないか、それに対して「起きて歩け」と言うことは実際にそのことが起こらなければ語ることができないことだから、それを言うことの方が難しいと思うだろう、しかし、わたしはその難しい方を選ぶ、それによって「人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう」(24節)、そう主イエスは言われたのです。

 主イエスが「地上で罪を赦す権威」を持っておられるのは、主イエスが人間の罪を負う苦難の道を歩まれるからです。主イエスはそのことを前提にしながら、しかし、そのことを隠しつつご自身の権威について語っておられるのです。

牧師 柏木英雄