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先週の説教より

「主のはしために目を留めてくださった」(アドベント第3主日) ルカによる福音書1章39-56節(12/12説教)

 マリアはエリサベトのいるユダの山里へ急ぎました(39節)マリアが救い主の母として選ばれるという自分でも信じ難い神の選びを神の全能の御力の故に受け入れることができた時(38節)、マリアが自分の身に起こった不思議な神の御業についてその恵みを分かち合いたいと切に願った唯一人の人が、親類のエリサベトでした。同じように不思議な神の恵みを経験したエリサベトだけが自分が経験した神の恵みを理解することができると考えたからです。それ故にマリアはエリサベトのいるユダの山里へ急いだのです。

 エリサベトは、マリアの挨拶を聞いた時、その胎内の子が踊り、聖霊に満たされ、声高らかに「あなたは女の中で祝福された方、あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜び踊りました」と語りました(41~44節)。エリサベトは、既に自分が救い主の先駆けとなるヨハネを生むことを知っていましたので(1章14節以下)、自分の胎内の子が喜び踊ることによってマリアが救い主の母として選ばれたことを一瞬のうちに悟り、聖霊に満たされてマリアに祝福の言葉を語ったのです。神の啓示の恵みに与った信仰者だけに与えられる美しい交わりがここに表わされています。

 マリアは、エリサベトとの出会いを通して、改めて自分が救い主の母として選ばれた神の選びを実感して「わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださったからです」(48節)と語りました。「身分が低い」にもかかわらず選ばれたのではなく、「身分が低い」小さな人間だからこそ、神はわたしを選んでくださったという認識が、マリアを心からの神賛美(マリア賛歌)へと導いたのです(46~55節)。

牧師 柏木英雄