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先週の説教より

「大きな喜びを告げる」(クリスマス礼拝) ルカによる福音書2章1-20節(12/24説教)

 マリアが臨月を迎えたのは、ローマ皇帝アウグストゥスの住民登録が行われた時でした。そのためにマリアとヨセフは、ガリラヤのナザレからユダヤのベツレヘムまで約150キロの旅を強いられるという過酷な状況に置かれました。なぜ神はこのような困難を自分たちにお与えになるのかと、神への疑いが起こり得る状況でしたが、二人はまさにマリアの胎の中に宿る命によって信仰を守られたのです。自分たちにこの命が与えられている限り、神は自分たちをこの命と共に守り給うという信仰によって、二人は支えられたのです。その信仰によって二人は無事ベツレヘムに辿り着き、馬小屋というこれまた惨めな環境の中で、しかし深い感謝と喜びの内に御子イエスを産むことができたのです。

 御子イエスの誕生を最初に知らされた人々が、夜野宿しながら羊の群れの番をしていた羊飼いでした。羊飼いたちは、なぜ自分たちのような者に神の御子の誕生が知らされたのだろうと不思議に思いましたが、「布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子がメシアのしるしである」という天使の言葉に励まされ、その御言葉を頼りに幼子を探し当て、馬小屋は御子の誕生を祝う新たな喜びに満ちあふれたのです。

 10節に「恐れるな。~民全体に与えられる大きな喜びを告げる」とあります。「大きな喜び」とは何でしょうか。それは天使たちによる「天上の賛美」(13節)のことです。御子イエスがお生まれになった時、なぜ天上の賛美が起こったのでしょうか。その鍵を解く聖書の言葉がルカ福音書15章です。「悔い改める一人の罪人については~大きな喜びが天にある」(7節)、「一人の罪人が悔い改めれば、神の天使たちの間に喜びがある」(10節)。御子イエスの誕生は、人間一人一人が自らの罪を悔い改めて、神に立ち帰る道を拓いてくださるためだったのです。そのために神は御子イスを誕生させ、十字架と復活への道を歩ませられたのです。御子イエスのお誕生の時の天上の賛美はそのためだったのです。クリスマスの喜びはこの天上の賛美に与ることなのです。

牧師 柏木英雄