先週の説教より
「あなたの願いは聞き入れられた」(アドベント第1主日) ルカによる福音書1章5-25節(12/1説教)
神は、旧約聖書の信仰が真に実現されるその中から新しい信仰(主イエス・キリストを信じる信仰)の歩みを始められました。「二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」(6節)とはそのことを意味しているのではないでしょうか。神の御前に正しく非のうちどころのない信仰とは、神の掟と定め(律法)をすべて守っても自分を誇ることなく、常に神の御前に謙遜に立つ信仰のことでしょう。祭司ザカリアとその妻エリサベトはそういう信仰に生きていたのです。神はその二人をメシアの先駆けとなるヨハネの誕生のために用いられたのです。
ところが、エリサベトは「不妊の女」で、「彼らには子供がなく、二人とも既に年をとっていた」(7節)のです。神の御前に「非のうちどころのない」信仰に生きていたにもかかわらず、神の祝福のしるしとしての子供が与えられなかったのです。この事実がザカリアとエリサベトの心を重い試練として圧迫していたのではないでしょうか。しかし、二人は、その試練の現実をこそ神に委ね、平安の内に自分たちの人生を全うしようとしていた点で、彼らの信仰は「非のうちどころがなかった」のです。
神は、そういう二人の思いをしっかりと受け止めていてくださったのです。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。その子は~」(13節以下)。神は、ザカリアとエリサベトの最後の願いをかなえてくださるという仕方でメシアの先駆けとしてのヨハネの誕生を実現し、そのことを通して新しい信仰の時代の幕を開けられたのです。憐れみ深い神の真実な御業の中で、主イエス・キリストを信じる新しい信仰の歩みが始められたのです。
牧師 柏木英雄