先週の説教より
「人里離れた所へ」 ルカによる福音書4章42-44節(7/27説教)
42節に「朝になると、イエスは人里離れた所へ出て行かれた」とあります。「人里離れた所」とは人気のない、荒涼とした荒れ野のことです。主イエスは朝早く一日の活動を始める前にそのような所へ行って、一人心を尽くして祈られたのです。父なる神との祈りの交わりの時を持たれたのです。主イエスが一人の人間でありながら罪のないお方として生きることができたのは、この祈りのためでした。主イエスが「アッバ、父よ」と祈る時、天の父なる神がその祈りに答えて、聖霊の働きのうちに主イエスに臨んでくださることによって、主イエスはあらゆる罪の誘惑から守られたのです。
「群衆はイエスを捜し回ってそのそばまで来ると、自分たちから離れて行かないようにと、しきりに引き止めた」(42節後半)のです。人々は主イエスから「外面的な」幸せ(病の癒しや生活の安定など)を求めたのです。しかし、主イエスが本当に与えようとしているのは、「内面的な」恵み(心の平安、罪の赦し)でした。勿論、主イエスは外面的な幸せを否定はされません。ただ、そのような外面的な恵みに留まらないで、内面的な魂の平安(罪の赦し)を求めることを主イエスは人々に願われたのです。
それ故に、主イエスは「ほかの町にも神の国の福音を告げ知らせなければならない。わたしはそのために遣わされたのだ」(43節)と言われたのです。「神の国の福音を告げ知らせる」とは、具体的には御言葉(神の国の福音)を宣べ伝えることです。御言葉が語られる時、御言葉の中で主イエスご自身が聖霊において臨んでくださり、聞く者の魂に癒しを与えてくださるのです。主イエスの御手が悩める私たちの魂の上に置かれる時、私たちの魂は聖霊の働きの中で一瞬の内に変えられ、「主にある」平安の中に生きる者とされるのです。
牧師 柏木英雄