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先週の説教より

「サタンに心を奪われ」使徒言行録5章1-11節 (6/28説教)

 アナニアとサフィラは、自分の土地を売った代金を「ごまかし」て教会に献金しました。売った土地の代金の「一部」を「全部」と言って、献金したのです。それによって自分たちの信仰の熱心さ、真剣さを表したいと思ったのです。そのような「偽り」(偽善)によって信仰の熱心さを証しできると考えたこと自体がそもそも誤りだったのです。

 ペトロはその嘘を鋭く見抜き「アナニア、なぜ、あなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、土地の代金をごまかしたのか」(3節)と責めたのです。アナニアとサフィラは、献金という良いことをするのだから、これくらいの偽りは許されると高をくくっていたのでしょう。しかしペトロは、そういう偽りこそ「サタンに心を奪われ」「聖霊を欺く」最も重大な罪であると指摘したのです。「良いことをするのだからいいではないか」と言って小さな「偽善」が見逃され、それが称揚されるなら、そのような教会はもはや聖霊によって生きる主の教会とは言えず、単なる人間の集団となり、それは信仰の「霊的な死」を意味する、とペトロは考えたからです。それ故にペトロは、あえて厳しくアナニアとサフィラの罪を断罪し、それによって二人は直ちに命を失わなければならなかったのです

 「教会全体とこれを聞いた人々は皆、非常に恐れた」(11節)と記されています。このことによって、教会が、世にあって主の教会として絶対に譲ってはならない「生命線」が何であるかが明らかにされたのです。この出来事によって、初代教会の将来の歩むべき道が明確に方向づけられたのです。

牧師 柏木英雄