先週の説教より
「群衆がかわいそうだ」マルコによる福音書8章1-10節 (7/12説教)
主イエスは弟子たちに「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしと一緒にいるのに、食べ物がない。空腹のまま家に帰らせると、途中で疲れきってしまうだろう。中には遠くから来ている者もいる」(2~3節)と言われました。
4千人(9節)以上もの人が食べ物なしに「人里離れた所」(4節)に三日間もイエスと共にいること自体が、異常なことではないでしょうか。現実にはあり得ないことです。しかし、そのことが現実に起こっていたのです。なぜでしょうか。人々が主イエスを心から信頼していたからです。この方といれば安心である。神が共にいてくださる。神が守ってくださる、という信頼があったからです。主イエスに対する人々の絶大な信頼に驚かされます。
弟子たちは、主イエスに相談を持ちかけられた時、前回の5千人の給食の奇跡(6章35~44節)を思い起こすべきだったのです。そして、今4千人以上もの人が食べ物がなくても主イエスを信頼して共にいるという事実を踏まえて、あなたが共にいてくださいます。あなたが助けてくださいます、と言って、自分たちが持っていた「7つのパン」(5節)と「わずかの小さな魚」(7節)を自分たちの方から主イエスに差し出すべきだったのではないでしょうか。主イエスはそのことを弟子たちに期待されたのではないでしょうか。
しかし、弟子たちは群衆を心配された主イエスの言葉に躓いて、「こんな人里離れた所で、いったいどこからパンを手に入れて、これだけの人に十分食べさせることができるでしょうか」(4節)と言ったのです。前回の5千人の給食の奇跡から少しも学んでいない弟子たちの姿が露にされているのです。
牧師 柏木英雄