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先週の説教より

「インマヌエルと呼ばれる」(アドベント第3主日)マタイによる福音書1章18-25節(12/13説教)

 神様は、マリアが救い主の母としての自らの選びを受け入れることができるように深い配慮を示されましたが、今や、マリアの夫となるヨセフに対しても、ヨセフがマリアの聖霊による懐妊を心から受け入れることができるように深い配慮を示されました。ヨセフの理解と協力がなければ、マリアの胎の中に行われた神の救いの御業は真に実現することができなかったからです。

 ヨセフがマリアの聖霊による懐妊を知った時(恐らくマリア自身がそのことをヨセフに打ち明けたのでしょう)、当然のことながら、ヨセフはそれを信じることができず、マリアと離縁しようと決心しました(19節)。ひそかに離縁すれば、マリアが姦淫の罪に問われ死刑に処せられることだけは免れることができると考えたからです。ヨセフができる精一杯の配慮でした。

 そのヨセフに対して、ある夜、神は夢の中でヨセフの魂に語りかけられました。夢とは人間が神の御前に最も「受動的に」なる時です。神はその時を用いてヨセフの魂の奥深くに御言葉を語り、マリアの聖霊による懐妊がマリアが語った通り、本当に神の御業によることであることを示されたのです。

 「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。『見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる』」(20~23節)。

 生まれ出る子が「インマヌエル」(神我らと共にいます)と呼ばれ、「自分の民を罪から救う」人となるという神の御言葉がヨセフの魂を捕らえたのではないでしょうか。この御言葉と共に聖霊が働き、ヨセフの心は砕かれ、マリアの聖霊による懐妊を心から受け入れることができるものとされたのです。こうしてクリスマスの出来事は真に実現の緒に着くことができたのです。

牧師 柏木英雄